2025-08-13

PSF Grants Programの一時停止

 一般社団法人PyCon JP Association 理事の寺田です。

先日(2025年8月5日)、PSF(Python Software Foundation)からアナウンスがあり、Grants Program(支援金制度)が一時的に停止されました。

詳細は、PSF公式Blogの記事 The PSF has paused our Grants Program を参照してください。

Grants Programの概要

PSFは各地域のカンファレンスなどのイベントやコミュニティー運営に対して、Grants Program(支援金制度) を提供しています。これは一定のルールに従い参加人数や規模に応じて、支援金を受け取れる仕組みです。

昨年からの変化

2024年12月には、Grants Programの仕組みを一部変更することが発表されていました。詳細は、「PSF Grants: Program & Charter Updates (TLDR)」を確認ください。

申請の数や金額が増えていること、予算には限りがあること、 多くの人に届けたいことなどを念頭に、申請方法や上限金額の変更などが行われたばかりです。

現在の状況

申請数が増加し今年の予算を使い切ることが判明したそうです。現在申し込み済みの申請については予算の残りを分割して配分する予定とのことです。

Grants Program一時停止のもう一つの要因はスポンサーが思うように集まっていないことがあるようです。

今後について 

PSF内でも継続的に議論をしたり、意見をもらうためのオフィスアワーを開催するようです。しばらく見守りたいと思います。

9月末に広島で開催されるPyCon JP 2025については、予算的な影響が出る可能性があります。当初からPSFの支援金を利用したいと考えていたからです。ただ、過度な心配は無用です。PSFからの支援金が出なかったとしても予定通り開催しますし、規模を変更する予定もありません。一般社団法人PyCon JP Associationの資金内で解決できる問題だと考えています。

PSFはPythonにとって重要な役割をなしており、PSFが健全に運営されることはPythonユーザにとって重要なことだと考えています。 

一般社団法人PyCon JP Associationとしても、PSFへの支援などを考えていきたいです。 

 

追加・補足の情報

以下は、筆者寺田の経験に基づいた補足説明をします。

Grants Programに対する補足

近年、PSFは各地域支援のために、このGrants Programを全面に出して応募を受付け、支援金を支払っていました。私達、PyCon JPにおいても多くのカンファレンス開催で支援を受けており、昨年(2024年)は当時の上限金額である $15,000 (当時のレートで200万円以上) を受け取っています。

他にも、地域のPyCon miniでも申請を行い支援を受けているケースもあります。

昨年からの変化に対する補足

2025年5月に開催されたPyCon US 2025においても、Grants Programの有効活用や積極的に利用して欲しいという考え方でPSFが動いているのだと感じていました。

また、各地でイベント開催している方々やコミュニティーの方々がこの支援金によってうまく活動継続ができているという話もききました。

現在の状況に対する補足

近年PSF及びPyCon USへのスポンサーが減少しています。今年はある程度の復活があり徐々に回復しているとの情報をPyCon US 2025中のメンバー向けランチの説明ではされていましたが、予定より集まっていない可能性はあります。

Grantの申し込み増加により予算の使い切ったこと、収入面では思うように伸びていないという状況で、苦肉の策として一時停止を決断したのではないかと思っています。 

他の側面として、PSFはPyPIのセキュリティ対策に力を入れて大きな予算を投入しています。昨年度のAnnual Impact Report内の会計報告を参照すると、2023年の-$225.000(約3千万円の赤字) から2024年は -$1,462,000(約2億円の赤字)に転落しています。

今後についてに対しての一歩踏み込んだ展開案

あくまでも、筆者である寺田が考えていることとして、以下のようなことができたらよいかと思っています。 

世界各国のコミュニティーやカンファレンスに目を向けると、それら単体での運営が難しいケースが多く存在します。そのためのPSFの役割は大きいです。

一般社団法人PyCon JP Associationとしても、地域コミュニティのための支援や、以下のようなPSFへの支援に向けた動きができないかと模索していきたいと思います。

Python Charity Talks in Japan復活か?

2020年から2021年に3回実施したのようなイベントを復活し、PSFへ支援を行うということも考えられます。

 


 

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