こんにちは。Python Charity Talks in Japanスタッフの筒井です。
今回は、Python Charity Talks in JapanのPlatinumスポンサーに応募していただいた
リーディングエッジ社 岸様へのインタビューをお届けします。
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リーディングエッジ社 岸様 |
企業概要
リーディング・エッジ社は東証一部上場C&RグループのITエンジニアのスキルアップ、特にPythonエンジニア教育研修と就業支援に特化した総合人材サービス企業です。
先端技術で世の中を変えたい、いつまでも学び続けたいエンジニア志望の方の就業機会創出と、いまや社会的課題となっているITエンジニア不足の解消をミッションに、これまでにも多くの人財と企業様とを結び重ねてきました。
設立は2000年7月で、今年創業20年になります。
「
みんなのPython勉強会」は5年間、毎月欠かさず運営本部として開催している企業でもあります。
インタビュー内容
インタビュアー: Python Charity Talks in Japanスタッフ寺田
(以下敬称略)
ーーまず最初に、御社についてお聞きします。御社ではどのような事業を行っていますか?
岸: これまで自社の社員向けにPythonエンジニアとして生きてゆくための教育研修を愚直にやり続けた教育研修ノウハウをコアコンピテンスとして、これからITエンジニアになることを目指す方を対象としたPythonエンジニア教育研修事業「Python Start Lab」というスクールを運営しています。
いま社会的課題として喧伝されているITエンジニア不足解消のために、特に先端技術としてのPython、機械学習、データ解析を学んでITエンジニアとして就業できるように就職支援までするスクールです。
また、東証一部上場の親会社C&Rグループとしては映像クリエイター、Webデザイナー、ゲーム開発エンジニアから、医師、弁護士、会計士、一級建築士まで、手に職を持つ方から国家資格保持者まで幅広くプロフェッショナルの転職支援や人財育成サービスを手がけており、同様にLE社の領域としてITエンジニアの転職支援、人材派遣、フリーランス独立支援などの人材総合サービスを事業の柱としています。
自社で教育研修までは余裕がないスタートアップ企業様や、先端技術に関してはノウハウを持たないサービス事業会社様などへPythonを習得した若手エンジニアを繋ぎ結びつけてゆくことをミッションとしています。
ーー今回はPlatinumスポンサーに応募いただきありがとうございます。どのような思いでスポンサーシップをしていただいたか率直にお聞かせいただけますか?
岸: Pythonコミュニティへの恩返しがしたい、これに尽きます。
「みんなのPython勉強会」も次回で通算60回を開催となりますが、はじめた2015年5月ごろ、LE社はまだまだこれから、新規に起ち上げたばかりの「Python Start Lab」を大きく、より多くの方々がPythonで人生を変えてゆくきっかけとなるように成長を続けたいと思うなかで、Pythonコミュニティとの協調両輪で、今回はLE社が恩返しという形で貢献できるまたとない機会と思って、Platinumスポンサーとして挙手させていただくことを即決いたしました。
ーーPythonの教育を熱心にされていますが、COVID-19の状況下に置いてなにか変わりましたか?
岸: COVID-19対応のためにオンラインでもリアルタイム講義を受けることができる体制をいちはやく整えて、全国から場所を選ばず気軽に受講できるようになりました。
「Python Start Lab」はもともとは新築したばかりの新橋新社屋で、通学教室で受講生も先生も顔が見える、コミュニケーション重視の実践型研修として2019年にスタートしました。
COVID-19により通学対面型から通信越しでのオンライン授業に対応したことがやはり一番大きな変化になります。
オンライン化の課題は教育研修分野だけでなく、世間一般的にも自宅からのリモート業務や多くのコミュニティ勉強会などでも、相手や参加者の反応がわかりずらいことが最大の欠点であることが見えてきたと思います。
また、オンラインでの議論は多くの人と抽象的な概念を共有しようとしたり、創造性の高いアイデアを積み重ねてゆくことは、今までの顔を合わせて話したときに比べてもロスが大きいと感じることがあります。
オンライン教育にはメリットも多数ありますが、一方でこのロスをどうやって埋めてゆくか。これがオンライン教育の課題であると捉えています。
オンライン化に向けては、LE社においては講師も営業企画担当も広報担当も経営層も、全員でいつも喧々諤々どうやったらオンラインでも対面学習の効果を損ねないように運営できるか、全世界規模でも知見の薄い課題に向けて毎日議論を重ね改善し続けています。
オンライン化にいち早く移行した3月末頃はまだぎこちないことも多くありましたが、授業の方法や休憩の取り方、ファシリテーターによるサポートと合いの手の入れ方、受講生が参加しやすい・発言しやすい状況の作り方など、アンケートを重ね、時には受講生と1on1で受講に関することだけでなく様々な意見交換も交えて試行錯誤を繰り返してきました。
そうしてゆくことで、オンラインでも一方通行の講義をただ配信するのではなく、講師は受講生の機微やどこでつまずいているのか学習の状態を把握し、ときには復習の時間を多くとって大事なところを繰り返しじっくり教えたり、受講生からの質問を膨らませて単に質問した受講生へ回答するだけでなく、他の受講生にも有益になるように派生した課題への対処方法なども盛り込んで教えたりできています。
COVID-19以前からもMOOCなどオンライン授業や反転授業でこれからの講師不足に対応するためのさまざまな教育方法が模索されてきていますが、COVID-19によりこれらの動きが世界的な規模で加速しています。
オンラインで教育研修を効率よくすすめてゆくためには、小さなアイデアの積み重ね(とこういったアイデアを効率よくこなすための自動化)だけでよいのか、はたまた画期的な方法が発明されるのか、全世界的に見てもまだわかりません。
LE社の「Python Start Lab」で起こっている変化は、まさにこの積み重ねと、画期的な発明を探ってゆく動きそのものなのだなと思います。
ーーPythonを初学者に3ヶ月かけて講習をされていますが、どんな雰囲気で進めているのですか?
岸: 「Python Start Lab」では、COVID-19以前は通学教室型でした。
受講生は毎日顔を合わせ、一緒に授業を受け、一緒にコードレビューをし、一緒に課外勉強会にも参加し、最後の卒業制作では設計から構築・テスト、発表まで一同ぜんぶ一緒にすすめます。もちろんそのすべてに講師が寄り添います。
時には意見をぶつけて、言いたくないことも意を決して指摘しあったり、受講生同士で助け合ったりということが多くありました。3ヶ月間の講義・課題の中では、いつもの講師だけでなく外部から著名な方をお招きして特別講義なども実施して、受講生は高いモチベーションで学習効果も高まるよう、常に何かの気づきが誘発されるようにと様々な工夫をしています。
私たちの「Python Start Lab」では実力のある有名講師がリアルタイムで直接教えてくれる、すぐ質問ができる、仲間と一緒に楽しく学ぶことも難しい個所も共有しながら研鑽を積むことに徹底的にこだわっています。
「Python Start Lab」は講師と受講生と運営とも一つになって創り上げていっている感があります。
ーー御社はコミュニティー活動も熱心にされていると思います。会社の活動とコミュニティー活動のバランスはどのように考えているのでしょうか?
岸: おかげさまで「みんなのPython勉強会」は2015年5月から、直系の開催だけでも58回、地方回や特別共催を含めると89回、コミュニティ参加登録者数(connpass)でも6275名(6/20現在)、登壇者数のべ204人、アップされた登壇資料284本に上るまでになりました。
これもひとえに参加いただいている皆さんのおかげだと心から思いますし、会の企画運営の中心メンバーである阿久津さん、辻さん、阿部さん、二木さん、横山さんのたゆまぬ努力の賜物と思います。
阿久津さん、辻さんともよく話すのは「当初は数回だけのつもりだったのに、よくここまで続いたなー」ということですね。
始めた当初は、アイデアだけで一緒にやってきた経緯があります。続けてゆくことに綱渡りだった時期もありました。そんな折にも、毎月仲間が集える場所を創ってゆきたいと願い、できる範囲で無理なく続けてゆくことを工夫して、いまに至ったと思っています。
実質的には開催するための会場はグループ親会社の資産ですし、それを気前よくいつも使わせてもらえたことは大きかったと思います。大きな会場で常に100名前後の方に参加していただいたことは運営メンバーにとっても励みでしたし、そのコミュニティ継続の源泉に場所の確保は大事な要素ではないかと思います。
いつも開催場所が変わってしまうのではなく、同じ場所に来たら仲間に会えるということも良かったし、同じ場所で開催し続けるので準備や備品、懇親会のケータリングの手配などもどんどんルーチン化してゆけたのも大きかったのかもしれません。(実際にビール調達なども業者さんからおまけしてもらうことも多かったですし)
企業活動とコミュニティ活動のバランスという観点では、あからさまな宣伝は厳に慎んでゆこうと誓って、LE社としての顔が見える機会には参加者の皆さんに少しでも有益な情報をきちんと盛り込むことを課してやってきたつもりです。
こういった考えが根底となって「みんなのPython勉強会」を続けてきたことで、結果として共催LE社ですら宣伝しないのだからと、安易な宣伝活動などを目的にコミュニティに近づいてくる企業を排除できたのではないかと思います。
名物の生ビールサーバ設置する懇親会においても、LT大会で登壇する方が企業宣伝に走ることは稀で、参加しやすい居心地の良い雰囲気の一助にはなれているのかもしれません。
いまこの「みんなのPython勉強会」もCOVID-19の影響で、現地開催できておらずオンライン開催のみとなっています、望外のうれしいことに今まで参加者が100名前後だったのが、オンライン開催になってからは事前登録で400~500名、youtube配信のユニーク視聴者数では1000名を超えるまでになっています。
それまでにも「みんなのPython勉強会」は第26回の3年前から動画配信をしていたのですが、with COVID-19において多くの人のオンラインイベント参加のハードルが下がり、勉強会とオンラインとの相性の良さをまざまざと見せられた結果になりました。
1000名の方に毎月配信を届けるために、ストリーミングマネジメントというノウハウ面でも多大な利得がありますし、着実に蓄積したこのノウハウは「Python Start Lab Online」にも活きています。
COVID-19の脅威が収束すれば、「みんなのPython勉強会」も現地開催を復活したいと思っています。いままでは現地開催は参加費用1000円を頂戴していたのですが、復活後の開催では無償で参加いただけるようにも告知もさせていただきました。もちろんピザ、サンドイッチなどの軽食と名物の生ビールサーバも健在です。
開けたらぜひ多くの方に参加いただきたいと思いますし、会場で直接お目にかかりたいです。
ーー参加者へのメッセージがあればお願いします。
岸: 一番お伝えしたいメッセージとしてはこんな時だからこそ自己の可能性を未来に向けて広げるためにPythonを学び続けることをやめないようにしていってもらえればということです。
COVID-19の影響でPyConJPもオンライン開催となり、米国のPyConも現地開催が急遽中止でその財政補填の少しでもの足しになればと、このPython Charity talk in Japanが企画されました。
危機に直面することで、いままで少し遠い存在だと思っていたPythonの世界的なコミュニティとも繋がりを感じます。まさに世界がグローバリゼーションで連環していることでCOVID-19の感染拡大と経済面での危機もはからずも共有していることが、今回のイベントにも縮図的に健在化したのだと思います。
起こったことは変えられないし、個人にできることは限られているけれど、こうやって世界につながっているからこそ、自分だけでも、自分からも動き続けてゆくことで、自分にも利得があり、世界にも貢献出来ることってあるのではないかと信じています。
一緒に学びをとめないで、がんばりましょう。
最後に
Python Charity Talks in Japanは7月4日(土)開催です。Platinumスポンサーによるスポンサーセッションもありますので、お楽しみに!
興味を持った方は、以下connpassイベントページから参加してください!
https://pyconjp.connpass.com/event/177586/